Guest Blogger: 河野太一のGMAT OG12解説 SC21
Nov, 22, 2010
Categories: GMAT | Taichi Kono | TOEFL/GMAT/GRE
This is another post from Taichi Kono, author of two textbooks on TOEFL and one on TOEIC and a highly experienced TOEFL, TOEIC, and GMAT instructor. Most of his posts will be in Japanese. This post is on GMAT sentence correction. His other posts can be found here.
-Adam
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河野塾代表の河野太一です。年来の友人であるAdam Markusさんのご厚意で、”The Official Guide for GMAT Review, 12th Edition”の解説ブログの内容の一部をこちらにアップさせていただくことになりました。オリジナルは河野太一のGMAT OG12解説でご覧いただけます。なお、オリジナルのほうは予告なく内容を変更することがあり、ここに上げたものと相違があることがありますのでご了承ください。私のこれまでの記事やGMAT以外の話題についてはこちらをご覧ください。
SC21
(A) Neuroscientists, havingまでを見た時点で、Neuroscientists が主節の主語、havingは現在完了形のhaveをdoing副詞にしたものと考え、後ろにカンマと動詞を探す。すると, areがあって、複数受けなので数の呼応はOK。havingからカンマまでは特にキズは見当たらない。itsもthe brainを指していると素直に考えて問題なし。
(B)はareの前にandが入っており、これではNeuroscientistsに対する動詞がなくなるから、即アウト。
(C) amassingが直接Neuroscientistsにかかっているため、これは後置のdoing形容詞と解釈でき、意味は「今まさにamassしてい る」となる。SCに慣れてくればこの時点でダメだろうと予測がつく。後ろを見ると, and areとなっているから、やはりNeuroscientistsがなくなって、これで完全アウト。
(D)はhave amassedが主節の動詞となっており、これはOKというか、むしろ好感度は高い。後ろはどうか。adulthood,までは他の選択肢と変りなく、問 題なし。下線部の後ろはnow drawing …となるので、(A)とは逆に、今度は後ろがdoing副詞になる形だ。doing副詞というのは、-ingの「同時感」を基本とした表現なので、主 節と副詞句が示す物事がほぼ同時に起こっているというのがコアの感覚。ただし、もちろん主節のほうが主体であり、副詞句のほうはサブ情報的な扱いになる。 したがって(A)と(D)の比較では、どちらが主体的な情報になるべきかを考えなければならない。ここはやはり「多くの情報を集めたので、今や結論を導き 出そうとしている」と考える、すなわち前の情報がサブで、後の情報がメインと考えるのが自然であろう。(D)では「今や結論を導き出そうとしていて、多くの情報を集めた」となってしまう。また、doing副詞が「同時感」を基調とする以上、「過去から現在までをひとわたり見渡す」時制である現在完了形と一 緒には使われにくい。主節には(現在が基準時であれば)現在形か現在進行形が来るのが普通だ(OG解説が言いたいのはおそらくこのこと)。ここは「多くの情報をすでに集めたという状況が同時的にあり、それで今は結論を導き出そうとしている」→「多くの情報を集めたので、今や結論を導き出そうとしている」の ように、「同時感」から派生して「理由」を表すようになったdoing副詞と見ることができる。
(E)は基本的に(D)と同じ構造なのでアウト。over the … yearsがamassed,の次に来ている理由がわからないので、違和感が増している。
こ の問題は結果的にhavingを含む選択肢が正解であった。ここで「havingは正解にならない」という「ルール」について一言。以前にも書いたとおり、この「ルール」は実際には「正解になりにくい」であり、正解になる可能性も現にこのようにある。そのことはこの「ルール」を教える人も知っているので、ちゃんと「正解になりにくい」と表現しているはずだ。しかし、習っている側の頭では、必ずしもそのようには処理されないことがある。どんなに講師が正確な発言を期しても、多くの生徒の頭には「havingを見かけたら即切るべし」と刷り込まれてしまう。習う側に「時間を節約しなければ」という強迫観念 があり、また「苦しまずに楽に解きたい」という欲求もあるからだ。この問題では、「havingルール」を教えられた人は(A)を即座に切ってしまい、振り返りもせず、(D)あたりを正解にするだろう。(A)を見て、「待てよ、このhavingは大丈夫そうだぞ」と思える人はほとんどいないだろう。なにせhavingを見たら切るようにバイアスがかかっているから、havingの違いを見抜こうなどという意識は働かないはずだ。筆者には、このあたりが「一 発切りルール」の限界に思える。正攻法で、ひとつひとつの選択肢をニュートラルに見て、不自然なものを切っていくという姿勢のほうが、結局正解率が高く、 時間も短縮できるのではないか。完了形をdoing副詞にする用法があり、しかもそれほど珍しいとまでは言えない表現である以上、このSC21ではその可能性を考えるべきであるし、そうすれば簡単には(A)を切れないはずだ。もちろんhavingの正解率が低いのは事実なので、「ルール」が間違っているわけではない。しかしなぜ正解率が低いかといえば、haveを-ing形にする必要がないところを無理矢理にhavingにした選択肢が多いからだ。 havingが何でもかんでもダメとGMATが考えているわけではなく、一定のレシピに則って間違い選択肢を作る結果そうなっているだけなのである。そし て、そのような無理矢理感のあるhavingは、「ルール」によらずとも大抵の場合は容易に見抜けるのである。
もちろんこのSC21のような問題を仮に落としたとしても、「ルール」に頼ったほうが総合的に時間節約、点数アップにつながるのだ、という見方もあろう。それはその人の考え方次第だ。筆者も、「ルール」という表現はちょっと強すぎると思うが、「こういう表現は正解になりにくい」という「傾向」は大いに知っておくべきと考える。 GMATに慣れてくると、正解も間違いもある程度ニオイが感じられるようになるので、「ニオイでわかるでしょ」と解説することすらある(そして一部から非難を浴びる)。ただ、それが問題を解く際に前面に出てくるのではなく、あくまで正攻法を基調とし、「傾向」は知識として脇に携えておく、ぐらいの感覚がよいのではないかと思うのだ。「ニオイ」も、あくまで正攻法で多くの問題を解いていった結果体得されるものであって、最初から知識として詰め込むようなものではない。生徒と話していると「どうもルールに振り回されているなあ」と感じることがある。「ルール」を絶対視し、「効率的に解こう」と焦るあまり、何でもかんでもルールでぶった切ってしまって、思わぬ誤答をしたり、正解がなくなってしまって最初から考え直すハメになったり。そうして何だかワケがわからなくなっているGMAT学習者は、潜在的にかなり多いのではないかと筆者は疑っている。そのような人は、選択肢を正面から見て、文法的に間違っているものと、表現として適切でないものを切る、という姿勢に戻したほうがスッキリするのではないか。もちろんそのためには正確な文法知識と、大量のインプットによる「正しい英語の感覚」を身につけなければならないのは確かだ。結局は、その苦しみを受け入れて乗り越えようとするか、苦しみを避けて姑息な手段に逃げ込もうとして「策におぼれる」か、という姿勢の問題に還元されるのではないか。
-河野太一
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